木村一基 百折不撓が座右の銘の将棋の強いおじさん
将棋を見るならABEMAプレミアム!タイトル戦含め沢山の対局やオフショットが見られます
将棋ファンの中でも、羽生善治先生に負けずとも劣らない、木村一基先生。
世間では
「将棋の強いおじさん」
「千駄ヶ谷の受け師」
「解説名人」
と呼ばれることもあり
木村一基先生が解説を務める対局では、対局される先生ではなく
木村一基先生を目当てに視聴される方も沢山いらっしゃるほど。
そんな将棋ファンから大人気の木村一基先生を今日はご紹介します。
木村一基 百折不撓が座右の銘 戦績
木村一基 戦績
木村一基先生は1997年に、23歳でプロ棋士になっており、
現在でプロになって26年目となります。
プロになってからここまでの主な戦績をご紹介します。
タイトル
一期 (2019年 王位)
タイトル戦挑戦
竜王 1回
棋聖 1回
王位 5回(うち1回タイトル奪取)
王座 2回
一般棋戦
朝日杯優勝 1回
新人戦 1回
となっており、
直近ではABEMA第二回師弟トーナメントで
高野智史先生と出場され優勝しています。
タイトル獲得までに通算6度の挑戦、6度の失敗
この中で一番インパクトがあるのが、
やはり2019年に王位というタイトルを奪取したことでしょう。
これまで7回のタイトルに挑戦し、悉くタイトル保持者に退けられて来ました。
一番タイトルに近づいた2009年の王位戦では
深浦康市先生から3連勝後の4連敗でタイトル奪取に失敗。
また2016年の王位戦でも、あの羽生善治先生に
3勝2敗とリードしながら、最後は連敗しタイトル奪取に失敗しています。
皆が泣いた、タイトル獲得 百折不撓が結実した瞬間
そして7度目の挑戦となった2019年の王位戦。
相手は豊島将之先生でした。
こうしてみると、木村一基先生は王位戦で激闘が多い為
何かと王位戦に縁があるのかもしれませんね。
2連敗のあと2連勝し、星を五分に戻した後
再び豊島将之先生に敗れ、2勝3敗となります。
いよいよ後が無くなった木村一基先生ですが、
ここから一気に連勝して念願のタイトル奪取に成功します。
初めてのタイトル獲得が46歳3か月と言うのは
将棋界において最長記録でもあります。
座右の銘でもある百折不撓が遂に実り、
木村一基先生がタイトル獲得を決めた後のインタビューが泣けますね。
特にオジサン世代からの支持率はバツグン。
かつてプロ野球で中日ドラゴンズで長年に渡って活躍した山本昌投手のように
オジサンの星としてこれからも頑張って欲しいですね。
王位戦の防衛には残念ながら失敗。相手はあの最強の…
そして2020年、今度はタイトルホルダーとして
再び王位戦を戦います。
王位戦の挑戦者は…
今や向かう所敵なしの藤井聡太先生。
流石の木村一基先生も相手が悪かったのか
0勝4敗で残念ながらタイトルを防衛出来ず、1期のみとなってしまいました。
しかし局によっては終盤まで木村一基先生がリードしていたなど
決してスコアで見るような大敗と言う訳ではなく、
タイトルホルダーらしい堂々とした差し回しをしてくれたことは
しっかりとファンの心に届いていました。
再び木村一基先生がタイトル戦線に復帰してくれることを
願ってやみません。
藤井聡太の初の「封じ手」を指導した!?
王位戦では藤井聡太先生が初めての「封じ手」を行ったのですが
その際に、封筒を見ながら
ここに藤井って書いて…と
木村先生が優しく指導されるシーンがありました。
本来対局者に指導をする義理はなく、ましてや相手は
自分が持つタイトルを奪おうとギラついている訳ですから、
助けてあげなくたって良い訳です。
しかし将来有望な若手棋士、そして将棋界そのものを背負って立つかもしれない
藤井先生に優しく指導し、しかもその所作が
極めて自然で、嫌味がなかった。
こういう所が木村先生が多くの方から愛される理由の一つですね。
木村一基 千駄ヶ谷の受け師 棋風
ここからは木村一基先生の棋風について解説致します。
千駄ヶ谷の受け師
木村一基先生は、
千駄ヶ谷の受け師
の異名を取る程受け将棋に長けており、
様々な対局でもそれを伺い知ることが出来ます。
受け将棋とは、相手が自分の陣地に攻め込んできた際
駒でしっかりとブロックを作り、相手の攻めを跳ね返す戦法で
相手の攻めの手が無くなったら、今度は一転鋭い攻め手で
相手玉に襲い掛かる棋風となります。
顔面受けに竜馬の守備参加…守あれば憂いなし
特徴的なのは、顔面受けと言われる
王将を動かし、相手の攻め駒を封じに行く棋風や
攻撃のキープレイヤーとなる飛車(竜)や角(馬)を守りに参加させることでしょう。
竜の守備参加は鉄板流で知られる、ウティこと森内俊之先生も
時々使われる戦法です。
これにより金銀に加え更に厚みを持たせる木村玉は
簡単には詰ませることが出来ません。
守るのではなく、相手の攻め駒を「攻める」
ここまで書くと、木村一基先生は守備に重点を置いた棋風なのではないか
となってしまうのですが、先生の将棋を見ると決してそうではなく
相手が攻めに活用してきた駒を徹底的に攻めて退却させる、奪う
ことを主眼に置いた差し回しとなるため、決して守備一辺倒のようには感じません。
サッカーで言う所のゲーゲンプレス、という表現がとてもしっくり来ますね。
最後まで諦めない粘り強さは他の棋士の見本
プロ棋士ともなると、明らかに挽回が不可能な局面や
10手前後の詰みが生じた場面で
潔く投了するのが暗黙の了解のような所がありますが
木村一基先生は基本的に白黒ハッキリするところまで指すことが多く
その粘り強さが相手にとっては厄介な所となります。
優位なはずなのになかなか相手は投げない(=投了しない)な…
いつまで指せばいいんだ…
と思っているうちに形勢差が縮まり、いつの間にか逆転。
将棋は技術だけではなく体力やメンタルも求められるゲームであることを
体現して下さるのが木村一基先生です。
木村一基先生をはじめ深浦康市先生、永瀬拓矢先生と
粘り強く差し回すことが出来る先生は
あの藤井聡太先生をも破ることがある程。
木村一基先生の粘り強さは我々も見習わないといけない所ですね。
木村一基先生の座右の銘でもある
「百折不撓」
は、棋風で見事に体現されているように思います。
木村一基 おもしろい?解説名人
将棋だけではない。普及活動の腕も逸品
木村一基先生と言えば将棋の実力もさることながら
将棋の解説を指せても将棋界トップクラスの実力者であると言えます。
冒頭でも紹介した通り、対局の解説は
女流棋士の先生や他の解説者を巻き込み大爆笑の渦に巻き込みます。
幾つか紹介しましょう。
千日手ルールを提案した自分の首が締まるという会心の出来ですね。
解説の棋風 ボケる イジる 初心者にもわかりやすく
木村一基先生の解説を聞いていると、特徴としては
オチのあるボケ
棋士の先生イジり(いない人も含む)
難解な局面は初心者でもわかるように数手先から意図を解説
となっているように思います。
これ、何気に凄いことだと気づける人はそんなに多くないような気がします。
と言うのも、この3つをバランスよく織り交ぜていくことで
将棋を殆ど知らない将棋の初心者
棋士の先生のファン
それなりに将棋は知ってて指せる、腕に覚えのある人
どの層が見ても楽しめるようになっているんです。
将棋はそんなにわからないけど落語のようなネタが楽しい。
知っている棋士の先生のネタを、不快に思わない範囲で暴露してくれる。
難解な局面の意図や指し手をプロ目線で解説してくれて、勉強になる
これが自然に出来てしまう(きっと木村先生なりに創意工夫されてると思いますが)
人材は将棋界広しと言えどそこまではいないでしょう。
もう一人の解説名人、藤井猛先生とはまた棋風の違う解説です。
木村一基流マネジメント マネジメント層は学ぶべき
ABEMA師弟トーナメントで見せた師匠の顔
直近のABEMA師弟トーナメントで優勝直後のインタビュー
の言葉にもあるように、
弟子を本当に大切にしている様子が伺えますね。
厳しい言葉だけでなくて、だからと言って甘やかすばかりでもない。
褒めた後、一過性で終わらないよう含みを持たせた発言等
本当にうまく使い分けている様子が伺い知れます。
第四回ABEMAトーナメントのチーム木村は絶品
映像がないのが大変残念ですが、
2021年第四回ABEMAトーナメントの
チーム木村「エンジェル」
の決勝チーム永瀬戦での木村一基先生の振る舞いが実に上司のお手本のような振る舞いでした。
池永天志先生が第一局でタイトル保持者でもある永瀬拓矢先生を破った際は、
「素晴らしいじゃないか」
「感動した」
と笑顔で出迎える。
絶好調のエース佐々木勇気先生には先手番を全て託し、
佐々木勇気先生は木村一基先生の期待どおり3戦3勝。
木村一基先生は一般的に不利と言われる後手番を3局全て買って出て、
前半2戦2敗となるも4-3とリードした勝負所の第八局で
相手の副将増田先生を破り、決勝進出を決める。
まさに優秀なマネージャーそのものの振る舞いで、将棋とは違う所で
見ていて感動致しました。
余人を以て代えがたし、という言葉がありますが
木村一基先生にもこの言葉はしっくり来るように思います。
木村一基 将棋が強いおじさんは人間としても尊敬出来る
木村先生のことをざっとご紹介させて頂きましたが
木村先生は本当に沢山の魅力に溢れており、熱狂的ファンが多いのも納得です。
今回タイトルを失冠してしまいましたが、きっと木村先生は百折不撓の言葉の如く立ち上がり
そして再びタイトル獲得に向けて挑戦し続けて下さるでしょう。
再びタイトルを獲得し、嬉し涙を流すその日まで。
木村一基先生から目が離せません。
これからもずっと応援し続けます。
ダン
コメント
コメント一覧 (8件)
[…] 木村一基先生のように、対局中は眠たくなりやすいという理由で […]
[…] 一番は木村一基先生の結婚式の際に出席された際ずっと詰将棋を解いていた、ということでしょう。 […]
[…] 百折不撓の本家、木村一基先生も7回目の挑戦での戴冠でしたから…その上を行く9回目の挑戦ですから…メンタルが強いなんて一言では表現できないですよね。 […]
[…] あの木村一基先生と対局した際には早指しで破り、木村一基先生を軽くキレさせています。 […]
[…] 仲良しの木村一基先生は貰った凄八シールについて一言… […]
[…] 関東Aは比較的若い棋士の先生が多い中、年長者の木村一基先生が先頭に立ってチームをガヤに持っていき […]
[…] 木村一基先生は趣味にしているし、渡辺明先生や佐々木勇気先生などランニングをしている先生は多いんだ。 […]
[…] この時、中村桃子先生と同席した木村一基先生は何かを察したのか […]