進学校で落ちこぼれた僕を、クビにした会社の末路。(倒産)
会社から解雇をされた経験がある人ってどれくらいいるのだろう。
一般的には無断欠勤が一定の期間続いたり、不法行為(横領や不正リベートなど)があったり、著しく会社の風紀を乱したりしない限り起きないのが解雇ですが、
ダンは2009年7月、当時勤めていた会社から解雇されました。
表向きには整理解雇ということでしたが、実は極めて悪質な不正解雇で訴訟をする準備もしていました。
しかし並行して転職活動も続けた結果、クビになった会社より大きな会社から内定を貰うことが出来、そこで結果的には自分の人生が変わるほどの経験も積めたので結果オーライ、というところなんですが
そんな会社が当然企業として大きくなる訳もなく、昨年久々に調べてみたら倒産していました。
もうクビになって10年以上経っているし、ざまあみやがれみたいな感情もありません。
でもクビになった経験も、勤めていた会社が潰れることもなかなかレアな経験だなと思い
折角だから記事にしようと思いました。
今会社を経営する側に立ってみて、また前職で経営コンサルタントをやっていて、
その会社が何故失敗したのかをある程度理論立てて語ることは出来るので
会社ってどうやって潰れていくのか、ということを幾つかの視点から解説していければと思います。
それではどうぞ。
ウソを盛りまくり
その会社は名古屋市にあり、当時30年以上続く事務用品を扱う会社だった。
語弊を恐れずに言うと「文具屋」である。
新卒の会社を1年半で辞めたあと、知人から紹介されこの会社に入社した。
理由は会社の幹部として、という甘い誘いだったからなんだが、
実はこれとんでもないウソで見抜けず、これで進学校の落ちこぼれから大逆転出来る!と舞い上がってしまい結果引っかかった(知人からも迷惑かけ申し訳ないと謝罪された)
会社の幹部と言っても従業員は5人。うちパート3人。
正社員…それを会社の幹部というのか?
会社の売上は紹介された際年商で3億と聞いていたのに実態は1.5億と半分だった。
今思うと色々とウソまみれだった。
ビジネスの規模が小さすぎ&素人から見てもおかしすぎ
年商1.5億も今思うと何処まで本当だったのかわからないくらいビジネスの規模は小さかった。
月商目標が会社全体で1,500万円程。
それはいいとして、文具屋らしく小物の注文も沢山あるのだが、利益率や単価が可笑しいのだ。
消しゴム1個、50円を、朝一番から欲しいとのことで配達する。
利益は5円。ガソリン代含めたら大赤字。
何処をどう切り取っても儲かりようがなかったのである。
それが1社だけならともかく、実態は何十社も抱えており、配達代の時点で既に赤字だったのだ。
複合機や電話機を販売しないとそのビジネスモデルは改善しないのに、与えられたミッションは「配達」
当時の僕は飛び込み営業が嫌で営業を辞め、とはいえ知人からビジネスセンスの高さを買われ紹介された会社の役員になり経営の勉強をしながら零細企業を大きくしようと言うビジョンを描いていたのだが、
運送会社よりも粗悪な環境下で、エブリに乗り文具を配送するただの配達員となってしまった。
基本給が3か月で3万円下がる
入社時の基本給は22万円だった。
24歳でその給料ならば、まぁ標準程度だとは思うのだが
何とこれがどんどん下がっていった。
聞いている話と違う。パフォーマンス低いから給料から引くね。
と社長から毎月1万円ずつ給料から減らされる旨通知された。
ちなみに、基本給は労働者の同意なく下げると違法となる可能性が高いのですが、当時世間知らずだった僕はそれすらわからず
まぁ、実際仕事そこまで出来てないししょうがないのかな
ぐらいにしか思っていなかった。最終的に、クビになった時の基本給は18万9000円。
大卒にも関わらず、総支給で20万円以下でしたとさ。
正社員→アルバイトに降格
その状態から暫く仕事を続けていたが、そこから数ヶ月後に社長に呼び出され今度は何事かと思ったら
雇用関係はこれで一旦線引をしたい。
とのことで、事態がよく飲み込めなかった。
すみませんどういうことですか?理解が追いつきません。
言葉の通り。雇用しない。どうしてもと言うなら、アルバイトからやり直し。
意味がわかりません。本人の同意なく勝手にアルバイトに変更出来ませんよね?
じゃあクビね。
は?
折しもちょうどリーマンショックが始まって転職サイトにも全然求人がなく、転職するには地獄の環境下だったのですが、彼は一切の感情を込めず言い放ちました。
勿論本人の同意なく、会社の都合で一方的に正社員雇用からアルバイトへ変更するのは違法です。
しかし当時の僕は無知だったこともあり、アルバイトの状態でも良いので残して貰うよう伝え、アルバイトとしての契約状態で仕事を続けました。
そこから結局1か月も経たずにアルバイト契約も解除され、クビとなりました。
ちなみに勤務態度不良だったとか、不正したとかは一切なく、きちんと与えられたミッションはこなしておりました。
訴訟する前提で弁護士さんに相談した際も「解雇する上での合理的な事由がない」と言って貰えました(結果次の転職先が決まり、相手にする時間が勿体ないので取り下げましたが)
解雇でも一応退職届け必要だから書いてきて
事前に何か可笑しいと思いこれは拒否しましたが、解雇の際に退職届を書く必要はありません。
当然解雇手当も1円も貰うことなく、会社をクビになりました。
その後各方面から人づてに聞いた話をまとめると
・会社を救う存在だと思ったのに、スキルが低すぎた
・固定費が高くなったから税理士に相談した所そうするのが良いとアドバイスされた
・あいつのせいで会社が傾いた、潰れるかもしれない
と散々な言われようでしたw
反撃開始:不正の証拠を取引先にばらまく
とは言え、自分自身のキャリアやアイデンティティをここまでコケにされて大人しく引き下がる程、私は人間が出来ていません。
次の転職先が決まり、勤務している間にも執拗にあちこちから耳に入ってくる誹謗中傷に流石に我慢の限界を迎え、遂に反撃に出ることにしました。
反撃の仕方ですが、
・不正リベートの証拠をそこの取引先に画像で添付して送る
・帳簿をチョロまかして口座もごまかしていたことを税務署に垂れ込む
・新しいビジネスパートナーと契約を締結した翌日に、上記事実をメールで送り、後日パートナー関係を精算させる
等で、これは今振り返っても我ながらなかなかの破壊力だったなと(笑)
特に不正リベートの証拠に関しては相手担当者のクビが飛んだだけでなく、取引の全面停止に繋がり、売上の15%を占めていたその取引先がなくなったことで、大打撃となったことは言うまでもありません。
某ドラマの倍返しなんてセリフが甘っちょろいくらい、徹底的にやりました。
やられたら泣き寝入りは絶対にダメです。自分が正しいと思ったら絶対に譲ってはダメで、僕のケースみたいなことをやられたら、会社潰す気で追い込んでやりましょう。
結果倒産に
そこから数年の月日が流れ、そういえばどうなってんだろう…とグーグル検索してみたら何やら物騒な文字が。
「○○、破産申請」
ああ、やっと終わったんだ…とこの文字を目にした時、思いました。
24歳で入社した際に感じた、
この会社は絶対におかしい、歴史があろうがなかろうが早晩潰れる
という僕なりの直感は、結果的に正しかったということになります。
そう思った理由は色々あるのですが、
一番の理由は経営者の人間性でした。
経営者とは全ての責任を背負う存在で、どんな事態が起きようと基本的には加害者です。
ところが、この会社の社長は起きたことを自分ごとで考えず、常に従業員、または外的要因のせいにし、自分で向き合うことをしませんでした。
創業社長ではなく、創業家の跡継ぎ問題で会社を買取り、アルバイトから叩き上げで社長まで上り詰めた人ですが、
目標の為に平気でウソをついたり、不正に手を染める等人間としても大きな問題がありました。
経営者の人間性に問題がある場合、一刻も早く逃げるべき
僕自身当時若かったこともあり大きな反省ですが、会社のトップや役員の人間性に問題がある場合、事業の成長が望めない可能性が極めて高くなるので、明らかにおかしい言動が目立つようであればその会社から離れるようにしましょう。
この発言は…とパターン化するのは難しいのですが
・基本的に他責
・人を馬車馬のように働かせたりするなど、コンプライアンス意識が希薄
・不誠実
・従業員の給料がそこまで高くないのに、自分は平気で贅沢な暮らしをしている
あたりが透けて見えた場合、その会社はそれ以上大きくなる可能性は低いです。
急いでその場から離れ、次の職場を探しましょう。
最終的にはコツコツ地道に、誠実にやっている人間や会社が勝ちますから。
進学校で落ちこぼれたあなたが活躍することを、今日も心より願っています。