部下は退職理由を本音で言わないよ、って話。
出会いもあれば別れもある。
会社に頑張って貢献してくれた人が、会社を退職することになった時
必ず耳にするのが退職理由でしょう。
次のステップに…
やりたいことが見つかった
親の介護
結婚が決まった
自分には合わなかった
とまぁ、本当に多種多様な退職理由を挙げられます。
でも落ち着いて聞いて下さいね。
ほぼ間違いなくその退職理由、建前ですから。
ではなぜ退職する人は建前を退職理由とするのか、
その理由をご紹介したいと思います。
今回の記事を読むことで
退職者が何故建前を退職理由にするのかがわかる
退職する際に本音を言って貰えない理由がわかる
退職を言い出した時点で既に止めるのはかなり難しい
ことがわかります。
それではどうぞ。
部下が退職理由を本音で言わない理由
退職理由に本音を乗せて喋らない理由、それはズバリメリットがないからです。
退職理由を本音で話すメリットは?
考えてもみてください。
間もなく決別しようとしている会社に、
わざわざ塩を贈るようなことすると思いますか?
ハッキリ言いますと、退職したいと言われた時点でもう軽く恨まれてるんです。
なんならマジで潰れてくれねえかな、潰してえな
くらいのレベルまで思われてたりしますよ。
そんなメンタリティの人が
わざわざ会社の改善点教えてくれると思いますか?
自分だったら憎たらしい相手を利するようなことを言いますか?
これが退職を決めた人の大多数が心の中に育てている感情です。
今更話して何になる?
退職経験がある人と話すとまず間違いなく共感を得られるのが
「退職を決める決定的な引き金になったシチュエーション」
が多かれ少なかれあったということ。
実はその引き金って簡単に引かれるものではなくて、小さな引き金をカチカチと何度も引いてきて
ある臨界点を越える出来事があって、その引き金を引いてしまうと
もう感情が引き返せなくなってしまうんですよね。
これはどういうことかというと、裏を返せば
小さな引き金をカチカチ引いているうちにきちんと周囲が対処すれば
そこまで大事にならずに済んだ、ということでもあるわけです。
ということは、その臨界点を越えた時点で
もうどんな人が何を言った所で感情的に元には戻らない訳ですよね。
それが上司の問題なのか、待遇の問題なのか、仕事の問題なのか。
特定は難しいですが、大体この3つのどれかが後戻り出来ない引き金であることが多いです。
そしてこの引き金を引かれてしまうと、いくら社長に説得されても翻意は難しいでしょう。
だって、言うだけムダだって思ってるから。
頭の中で慰留されないロジック構築中
そして、頭の中ではもう次のステージに行って仕事に打ち込む為に
面倒なことに巻き込まれないようにどうやって穏便に辞めるかしか興味事はありません。
一部の止めて貰いたい構ってちゃんは別として
基本的に今の会社を離れて次のステージで頑張りたい人にとって
強く慰留されてそれに対応するほど時間のムダはないって思ってます。
だから、辞めますと言われる裏には
もう受け切るのが大変難しいロジックが横たわっている可能性が高いです。
ちなみにこの段階での強引な引き留めは逆効果なので辞めましょうね。
もっと露骨に嫌われます。
退職を決意した瞬間全て無関心に
退職を決意したら、あとは退職するまで「消化試合」
先ほども少し触れましたが
退職を決めた時点でもうその会社への興味はゼロなんですよね。
当時抱えていた思いを改めて語った所で改善されないだろうし…
ってかそもそも俺いなくなるぞ?
それ言って揉めたら辞めるまで気まずいし…
当たり障りなく話して仕事も最低限にしておこう…
ってマインドが働いていますから
もう仕事のモチベーションなんてないに等しいも同然です。
なんなら指示されても適当にやるぐらいで
どうやって早く時間過ぎ去るかしか考えていない人もいるでしょう。
会社に愛想を尽かしている状態なので、
人間同様、愛想を尽かした人に塩対応するのは当たり前ですよね?
もう淡々と時間が過ぎるのを待つのみの状態です。
会社に利することを言う理由ナシ
そんなどうでもよい状態になっていますから、
当然会社に利するようなことを言う義理もなければ、理由もありません。
ごくごくまれに本当に優しい人が、
苦言として話をしてくれるケースもありますが、まず起きえないでしょう。
その会社へ利することをする、ということは
言い換えれば、自分自身への否定になりますからね。
部下から退職を告げられた際管理職が考えるべきこと
退職の話が出た時点からもうその人はいないものとして考えるのが常ですが、
起きてしまった際に考えないといけないことについてご紹介します。
悩んでいる様子に気づけた?
管理職の人がまず振り返らないといけないことは
ということです。
どれだけ平然を装っていたとしても、
退職しようかどうか心が揺らいでいる時の言動は不自然だったりします。
これを誰にもバレずに隠し通せたら、まぁある意味凄いのですが(笑)
まず、気づけていなかったとしたら端的に言って相当鈍いですね。
きちんと日頃から部下の言動や表情を見ていないのがバレバレなのがここで露呈されます。
退職していく人は、
そういうアナタの管理職としての未熟さに呆れて会社を去っていくんです。
退職と言う引き金を引かせて、その人の人生に小さくない負のインパクトを与えた。
ココは猛省する所でしょう。
部下に愛想尽かされたんだよ
ちなみにココで言う未熟さとは、決して能力のことを言うのではありません。
辞めていく、自分の部下の人に
きちんと関心を向けなかったこと。
わかってやろうとしなかったこと。
困っている時に向き合おうとせずに逃げたこと。
シンプルに言えば、
ボタンの掛け違いを是正しようとせず
放置したことで部下に愛想を尽かされた
のが事実です。
この事実は、どれだけ言い訳しようが動かせません。
愛想尽かされたんですよ?
人として見切りつけられたんですよ?
この事実をきちんと認めて、自分の至らない所と向き合わない限り
同様の退職は続くでしょう。
会社の待遇や会社のビジョンなんて一切関係ない。
アナタが未熟であるが故に、前途ある人材の未来を潰した。
それが事実であり、それが全てです。
その事実と向き合えないなら、管理職を辞めるべき
ちなみにどんなに優秀な管理職であったとしても
人材が辞める時は辞めます。
ただし、その際は辞める理由がもっと前向きであり
退職の際に感謝の言葉が貰えるものです。
部下から退職の旨報告を受けた際
感謝の言葉をアナタは貰えましたか?
そして、それが社交辞令ではなく
嘘偽りない本音であると自信を持って言えますか?
それが部下からアナタに対する評価です。
その事実に対して真摯に向き合い、改善する気がない
辞めていく人間が悪いんだという他責思考が先に出てくるようなら
自分から管理職を降りましょう。
アナタは人を育てたり、部下を持つことの意味が全くわかってません。
管理職としての職責を果たせないばかりか、
存在自体が害悪そのものです。
退職に対し経営者が考えるべきこと
理由はあれど会社が「否定」されたという事実
直接経営者に対して退職する旨を伝えることは珍しいので
一度管理職や担当役員を経由して従業員の退職を耳にするのが一般的でしょう。
経営者から見たら、
もしかしたら仕事が出来ず辞めて欲しかった人材だったかもしれません。
エース級の人材だったのかもしれません。
ただし、会社を辞めるという決断を下されたということは
「この事業、この会社に骨を埋めるつもりはない」
というメッセージを、従業員から突き付けられたということになります。
事業の魅力やビジョン、待遇何かが足りてないから。
辞める理由は人それぞれですが、
身近でいる人間に「これではダメだ」というNOを突き付けられたということは
間違いなく何かが足りていないからと考えてよいでしょう。
高い志を持って始めたビジネスが、身近にいる人間一人にすら伝わらなかった。
事業の魅力がわかって貰えなかった。
この会社で働くことに不安を感じさせてしまった。
信頼して任せた管理職が、未来ある人材を潰した。
色々と言い分はあるでしょうが、
事実としては雇用関係の解除を希望された、ということ。
この点については、会社の経営者であるアナタに全ての責任があります。
たとえ管理職の能力不足で退職に至ったとしても、
その管理職を指導するポジションに配置し、
教育する機会すら与えなかったのは会社に対し責任を負う立場のアナタです。
一人の退職くらい別に何てことないやろ!いちいち騒ぎすぎや!
なんて思ってると、後で痛い目にあいますよ。
一人の退職は氷山の一角の可能性が高い
一人退職しただけであれば幸運なのですが
行動に移さないだけで、似たような不満を抱えている従業員は
決して少なくないです。
そして、従業員が退職した後に
どんな行動を会社が取るのかを全神経を集中して観察しています。
そんなもんなんです、従業員って。
辞めてったヤツが悪い、会社は悪くない感を出すと秒で従業員にバレます。
そして次に見切りをつけて辞めだす従業員が現れます。
最悪組織が崩壊します。
従業員が退職した後の会社に拡がる雰囲気をナメてはいけません。
心の中でそう思っていなかったとしても
自分が未熟なばかりに申し訳ないことをした…
くらいのことは火消しとして言いましょう。
まあ、上っ面で言ったら上っ面で言った所で
いずれ化けの皮が剥がれてバレるんですが。
自社の口コミちゃんと見てる?全部本音だよ
以前こんな記事を書きました。
こちらで少し言及しているのですが、
元従業員の声と言うのは忖度なく本音の可能性が極めて高く
この声がそのまま従業員が感じていた内容そのままになります。
勿論事実ではないこともあるかもしれません。
しかし、そうだとしても誤解させるような仕組みを作ったのは
経営者であるアナタです。
ネガティブな書き込みは
次有望な人材が入社を検討したとしても
一発で選択肢から外す程の威力があります。
レピュテーションリスクをナメたらダメですよ、という話です。
従業員一人退職し、不都合な事実をネット上で書かれたばかりに
有望な人材が入社しなくなり、事業そのものの成長性までなくなる
なんてことは決して大袈裟ではなく現実にも起きている話です。
採用は経営における最重要戦略と捉えている会社もあるぐらいです。
人が退職する際には神経質すぎるくらい神経を尖らせましょう。
そして、お互い不幸な退職を招かないように
社内の仕組みや体制を見直し、都度修正していきましょう。
まとめ
本日の記事、いかがだったでしょうか。
従業員が会社を辞める時には
本音を言わない理由が理解頂けたかと思います。
そして、どうしても本音を知りたい場合は
転職サイトなどの口コミから目を逸らさず受け止めるべきですね。
ちなみに過去、ダンが従業員100人規模の会社に居た時
現在の会社の問題点等を挙げるアンケートを会社で実施したことがありました。
聞いてみると皆こぞってボロカス書いたと言ってただけあり
結果がフィードバックされることはありませんでした(笑)
おそらく相当辛辣な内容が書かれたのだと推察致します。
書いた人間の中には、不満だけでなく
会社が良くなる為にと思ってあえて苦言を書いた人もいたのに
結局会社がそれを受け止めないようだと
書いた側からすると
だったら最初からやんなきゃよかったじゃん!
ってなりますよね。
勿論その後新規事業の責任者はじめ、優秀な人間が短期間で退職していったのは
言うまでもありません。
今では入社1~2年のメンバーが主クライアントを担当しているようです。
2軍の戦力使ってどうやって会社成長させるつもりなんだろう…笑
記事でも少し書きましたが、従業員が会社に愛想を尽かす理由は
自分の意見が受け入れられなかった時ではなくて
自分のことを尊重して貰えなかった時
なんですよね。
やはりどこまで行っても、会社は最後人で成り立っていることを
理解しないと、これから人口減少が続く中
どんどん会社としての優位性を失っていきます。
そのためには従業員の声なき声や、一つ一つの仕草から
今どんな風に会社や仕事について考えているのか
先回りして察し、手を打つことが重要です。
今目の前にいる従業員は
将来に会社にとって重大な局面で必要になる人材である。
そう思って大事に接していきましょうね。
これからも仕事を頑張るアナタを応援します。
ダン