黒田尭之 山根ことみの先輩は無骨なオールラウンダー

黒田尭之先生のプロになるまでの足取りやプロになってからの戦績がわかる
黒田尭之先生の棋風やお人柄がわかる
黒田尭之先生と山根ことみ先生との関係はじめ様々なエピソードがわかる
黒田尭之先生をABEMAトーナメントで始めて知られた方も多いのではないでしょうか。


恥ずかしながらダンもお名前は存じ上げていたのですが、どんな方かまでは存じ上げませんでした。
今回はそんな黒田尭之先生に関する記事を書きました。
どうぞごゆっくり最後までお読みくださいませ。
黒田尭之 よみがえる右銀急戦と横歩取り研究


棋風はオールラウンダー
黒田尭之先生の戦型は居飛車、振り飛車どちらも指すオールラウンダータイプです。
羽生善治先生のようになんでも指すタイプの先生は研究熱心で、かつ好奇心旺盛なタイプが多いのですが
黒田先生も将棋については非常にストイックで、熱心な印象を受けます。



風貌や研究熱心さからは永瀬拓矢王座の系譜っぽく見えますよね。
特に第六回ABEMAトーナメントでアゲアゲ先生こと折田先生、富田先生とのチームの際に
僕は将棋しかないので今日は将棋担当で…
とコメントしていたのは笑ってしまいました(笑)
エース戦法、右銀急戦と横歩取り
黒田先生の戦法で有名な所と言えば、やはり書籍化までした右銀急戦と横歩取りでしょう。


黒田尭之の横歩取り研究―15のテーマとその結論 (マイナビ将棋BOOKS)


黒田尭之の新研究 よみがえる右銀急戦 (マイナビ将棋BOOKS)
右銀急戦は特に振り飛車相手の対抗形の定跡としては極めて優秀だと思います。
もともとは2020年の順位戦で、イデオンこと井出隼平先生をこの右銀急戦で迎え撃ち、快勝したことが出版の呼び水となったそうですね。



ちなみにこの右銀急戦は羽生善治先生も藤井猛先生との対局の際に採用したことがあるんだよ。
そしてもう一つの横歩取りですが、
先手後手関係なく
横歩を取る側・横歩を取られる側両方の視点
で書かれている為
横歩取りを採用したい人向けの定跡
横歩取りの受けが苦手な人向けの定跡
両方の視点から考えることが出来、非常に勉強になる内容となっています。
横歩取りは往々にして激しいぶつかり合いになることが多く、
比較的短手数で終局になることも多い、ハイリスキーな戦術の一つです。
それを自信を持って差し回し、しかも書籍にしてしまう黒田先生の胆力はやはり流石としか言えません。
AI将棋との共存について
昨今AIによる研究が非常に盛んになっている将棋業界ですが、黒田尭之先生も
AIを研究に取り入れられていらっしゃるようです。
その中で当然、評価値と向き合うことが必要となってくるわけですが
黒田先生は
「人間同士の勝負では200点、300点の差はどうにでもなると思っている。大事なのはその点数をどう自分で理解するかで、自分の感覚を大事にした方が良い。」
旨を語られています。
以前佐藤天彦先生が語られた評価値ディストピア問題ですが、
黒田先生はたとえ評価値が不利な数字を叩き出したとしても自分の中の価値観と突き合わせて、
自分の感覚を大切にすることを選ばれる当たり、一本芯の通った棋士という印象を受けますね。
黒田尭之先生がプロになるまで~プロ入り後の戦績


生い立ち~奨励会入会するまで
黒田尭之先生は1996年に愛媛県松山市で生まれます。
将棋を始められたのは6歳の頃で、お父様から手ほどきを受けられたそうです。
その後松山市内にある将棋センターにて腕を磨き、
イベントでやってきたハタチンこと畠山鎮先生の弟子入りをし、小学校6年生で奨励会に入会します。
ちなみに兄弟子は、さいたろうで有名な斎藤慎太郎先生。



インタビューでは斎藤先生の将棋、人間性共に尊敬している旨を語っていらっしゃるよ。
奨励会入会~プロになるまで
小学校6年生で奨励会の門を叩いた後、順調に昇級・昇段を重ね
2013年に三段リーグに昇段。プロまであと一歩の所までたどり着きます。
しかしそこからが長く、三段リーグ突破を決めるまでには十二期、およそ6年の歳月を費やします。



藤井聡太竜王、大橋貴洸先生が昇段された際の次点(3位)を取られたり、2連勝すれば昇段の1局で佐々木大地先生に敗れたりと、最後あと一歩の所が続いたんだ。
そして2018年、出口若武先生と共に13勝5敗で3段リーグを突破し、晴れてプロ棋士となりました。
ちなみに愛媛県出身の棋士は、名伯楽である森信雄先生に次ぐ43年ぶりの出来事だったそうです。
奨励会の例会はいつも松山からフェリーで大阪の関西将棋会館まで通っていたとのこと。
自宅からフェリーの出る港まで2時間、夜10時に出港、翌朝6時に大阪の港着
そこから更に40分かけて関西将棋会館へ…
とタフな生活を送られていたようです。



ちなみに一度だけ海が荒れてフェリーが出ず、その時は例会をお休みされたようです。
この期間、入学した愛媛大学を辞めて将棋一本に没頭したりと改めて将棋に対する強い思いを感じさせられますね。
プロ入り後の主な戦績
黒田先生は現在C1で順位戦を戦っています。
まだまだ26歳と若いので今後の活躍に期待ですね。
また、新人王戦にて準優勝の経験があります。
順位戦だけでなくトーナメント戦や一般棋戦等でのご活躍にも期待しています。
あの藤井聡太先生にも勝利!
公式戦ではありませんが、ABEMAトーナメントではあの藤井聡太先生にも勝利しています!
淡々と指される棋士の先生が多い中で、語らずして伝わってくる黒田先生の闘志と気迫。
そして相手が強敵でも恐れることなく向かっていく勇気。
見る将の方々の心をうち震わせることの出来る、「ファイター系」棋士ですね。
黒田尭之先生のエピソード・山根ことみ先生との関係


山根ことみ先生とは小学生時代からの知り合い
同じ愛媛県松山市出身でもある山根ことみ先生は黒田先生の一学年下で
小学校の頃から知り合いだそうです。
お正月の際に帰省された山根先生と将棋を指された際、
およそ1日で20局程指されたそうですが、その対局数の多さに山根先生も驚かれたようです。
山根先生いわく、奨励会時代は将棋倶楽部24では毎月300局以上、通算で数万局対局されていた為
感覚がマヒしているとのこと。



黒田先生の不断の努力がうかがい知れますね。
地元・愛媛 松山への愛着
現在も活動拠点を生まれ育った街である愛媛県松山市に構える黒田先生。
先述した、フェリーでの例会出席も含め移動が大変な環境下ではありますが
とあくまでも松山を拠点にすることに拘り、今後もプロ棋士として活動していくようです。
群馬県に住んでいる三浦弘行先生や、地方出身者を弟子にする地球代表のように、地元を大事にする棋士の先生方は
一定数いますが、黒田先生もそのお一人ですね。



AI研究が主流の今、地方でも十分に研究が出来る環境になったことも大きいですが、黒田先生はそういうことよりも純粋に人間臭い所が見えるんですよね。
隠れ健啖家!?対局時の将棋メシが侮れない
タイトル戦以外ではあまり表に出ない対局時の食事ですが、
黒田先生が対局時に召し上がられる食事も、棋風同様迫力満点です。
カツ丼、クリームコロッケカレー、麻婆豆腐丼、うなぎ、力うどん…


加藤一二三先生、丸山忠久先生、田村康介先生と言った歴代の健啖家の系譜を継ぐ匂いが
ここからも感じることが出来ます。



とはいえお若いから食欲も旺盛でしょうし、対局中は物凄いエネルギーを必要としますから、沢山召し上がられてパワー溢れる将棋を黒田先生には指して欲しいです。
隠れ画伯!?個性的な揮毫
プロ棋士の仕事の一つでもある揮毫。
揮毫とは簡単に言うと、習字(筆で扇子や色紙に書くこと)なんですが
永世名人になられた谷川先生、そして我らが羽生善治先生はじめ
本当に美しい揮毫をされる先生方が多い中で
黒田先生はここでも個性的な揮毫を我々に提供してくださいます。
いやこれね、上手いとか下手とかそういうものじゃないんですよ。
字は人を表すなんて言いますけど、
この揮毫の上に黒田尭之なく、この揮毫の下に黒田尭之ありませんから。
ちなみに黒田先生は個性的な揮毫だから練習したいとお考えのようですが
練習する必要なんてありません(断言)
過去には藤田綾先生という画伯もいらっしゃり、大変盛り上げて下さいましたから
黒田先生には、将棋は勿論盤外でも沢山盛り上げて頂きたいですね。
魅力の宝庫 黒田尭之
黒田先生の魅力を調べてみれば調べてみる程沢山出てきました。
この他にもビートルズをよく聞くという意外?な一面やTwitterでもコッソリ面白いことを呟かれています。
結局黒田先生の魅力って何なんだろう、と考えてみたのですが
力強い棋風は勿論のこと
勝負師としていい意味でスマートに生きていない
所なんだと思いました。
力強い棋風に健啖家の一旦を垣間見、独創的な揮毫にユニークな言動、そして将棋に没頭する真剣さ。
どれか一つ欠けてしまっても、黒田先生の魅力って半減してしまうなぁ、と思った次第です。
まとめ
黒田尭之先生の記事、いかがでしたでしょうか。
ABEMAトーナメントではチーム斎藤が決勝トーナメントに進出したこともあり、
まだまだABEMAトーナメントでも黒田先生を見ることが出来そうです。
闘志溢れるオールラウンドな将棋を指す黒田先生
独創的な揮毫に健啖家、ユニークな言動等プロ棋士屈指の人間臭さ
故郷松山を大切にし、将棋に対する情熱や並外れた努力する姿
これから続くABEMAの決勝トーナメントでも、是非チーム斎藤、黒田尭之を応援しましょう!