村田顕弘 新村田システムと藤井聡太七冠の6四銀

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村田顕弘 新村田システムと藤井聡太七冠の6四銀

今回の記事でお伝えしたいこと

村田顕弘先生と藤井聡太七冠の対局の凄さについて

村田顕弘先生の村田システムについて

村田顕弘先生のご紹介

いやー、とんでもない対局でしたね。

第七十一回、王座戦決勝トーナメント準々決勝、藤井聡太七冠と村田顕弘先生の対局。

結果藤井聡太七冠が勝利しましたが、中盤までは完全に村田顕弘先生が盤上を制圧していました。

今後間違いなく語り継がれるであろう、この対局含め村田顕弘先生のご紹介もさせて頂きます。

どうぞゆっくりとお楽しみください。

目次

藤井聡太伝説の6四銀 村田顕弘の新村田システムの激突

相掛かりの出だしから中盤まで村田顕弘先生のリード

本対局は、先手村田顕弘先生、後手藤井聡太七冠で始まりました。

相がかりの序盤から、新村田システムを駆使し藤井聡太玉を目指します。

ダン

対局前から、村田顕弘先生は棋士人生を懸けて戦うと意気込みを語っていたんだよ。物凄い気合だよね。

右銀を前に繰り出し、角道を開けず保留にしながら攻めていく村田顕弘先生。

そして角道が開いたと思いきや、藤井聡太先生に隙が生まれます。

それが52手目、藤井聡太先生が4四金と上がり、角に当てた村田顕弘先生の飛車を受けました。

これがAIでは疑問手となり、村田顕弘先生は角を取り、藤井聡太先生は金で飛車を取ります。

飛車角交換からの次の一手で形勢が動きます。

それが55手目、村田顕弘先生の8二角打でした。

この一手は

飛車、または金どちらかが確実に得られる一手

であり、藤井聡太先生にしては珍しく読み抜けが疑われる手となりました。

結果飛車を逃がすことを選んだ藤井聡太先生ですが、

攻防の地点である5五に馬を作られ、かつ金まで奪われるという非常に苦しい展開となります。

ダン

この5五に馬がいると言うのがポイントで、攻めにも守りにも使える駒が中盤に陣取ることで、藤井聡太先生側の駒の動ける範囲が極端に制限されてしまうんだ。この状況を打破するにはこの馬の働きをどう弱めるかということを考えて指さないといけなくなってしまうんだよ。

馬が迫った時、藤井聡太先生が放った伝説の一手

そして藤井聡太先生も負け時と飛車を打ち込み、一手でも間違えたら逆転するよ、という手で

村田顕弘先生の玉を遠くから睨み続けます。

それでも着実に良手を重ね、藤井聡太先生からリードを奪っていく村田顕弘先生。

ダン

7筋に香車を打ち込んだ為、藤井玉は右には逃げられない。左からはヒタヒタと忍び寄る村田顕弘先生の馬。手持ちには金銀。かなり危ない状況です。

この不利な状況下で、次に藤井聡太先生が放った凄まじい手に誰もが驚愕します。

それが…

誰しもが驚いた妙手、6四銀です。

この6四銀、何が凄いのかと言うと…

4六にいる角道にヒモがついていない状態で放り込む為、タダで銀を取られる

しかし銀を取られても、王様が5二→6三と脱出出来るルートが出来た

更に、同角と応じた瞬間に5九金→5七香車打で相手玉を詰ませられる幻惑の一手

ほおっておくと6四銀→7五銀で香車を払い、王様が7筋以降にも逃げる道を作れる

を一度に解消する手となり、考えれば考える程物凄い手であることがわかります。

ダン

大谷サンから九回の裏2アウトランナーなしの状態で、3連打+満塁ホームランを打って同点に追いつくくらい物凄いことなんだ。

秒読み勝負で逆転、最後は25手詰みを1分で読み切り勝利

この手に対し、6八銀と指した村田顕弘先生。

ここで5六香車打、7九玉となった局面で藤井聡太先生、4六銀から勝利に繋げる一手を指します。

それが5九金でした。

これも先ほどの4六銀に負けず劣らずの手で、

4六銀が死地から生還する一手だとしたら、5九金は勝ちをたどり寄せた一手だと言えるでしょう。

ダン

つまりさっきの4六銀は死地からは脱したものの、依然形勢は村田先生有利だったんだ。更なる一手がないと逆転、勝利までたどり着かなかったんだね。

実際にこの5九金に対し、村田顕弘先生が同銀と応じたことで形勢が一変、

AIは村田顕弘先生有利を示していましたが、一気に藤井聡太先生勝勢と指し示すこととなりました。

具体的にはこの1手後に、形勢が85対15と一気に藤井聡太先生に振れます。

そして7五にいた香車を遂に銀で払うことに成功、藤井玉が安全になったことで

最後は25手詰みが生じ、これをわずか1分足らずで読み切った藤井聡太竜王が

94手にて村田顕弘先生を破ることに成功したのでした。

ダン

何時間も長考の上で指した手でも凄いのに、たった1分の秒読みの中でこれらの手をバシバシ指していく…何が起きたのか本当にわかりませんでした。

ちなみに藤井聡太先生クラスだと、25手詰めは数秒で読み切れるレベルでしょう。

参考までにアマ二段のダンは、藤井聡太先生が考えた十一手詰めを

アマ四段の方と一緒に考え、やっとこさ1分ちょっとで解けるレベルです。

ダン

ダン一人でやったら3分くらいかかるでしょうか…それより倍の手数を秒で読むのがトッププロ…凄さがわかっていただけると思います。

現役の先生からも驚きのコメントが続々と

あまりにも鮮やかすぎる逆転劇、そして妙手連発に、現役の棋士の先生方からも驚きの声が多数上がりました。

棋士が驚く一手を指すことはさして珍しいことではないのですが

ここまでの頻度で棋士の皆様を驚かせるような手を連発する藤井聡太先生、

一体どうなってるんでしょうか…凄い以上の形容詞が存在したら教えて欲しいです…

村田顕弘と新村田システム

村田システムとは

終局後、村田顕弘先生が質問を受けた「これは村田システムですか?」に対する

「新村田システムです」という言葉にとても感動を覚えました。

ダン

棋士人生を懸けて、藤井聡太という現役最強の棋士を倒すことだけを考えたシステムだからこそ、尊いものなんだよね。

村田システムについて少し紹介をします。

村田システムは、アマチュア棋士の間で指し手が多い嬉野流という棋風によく似た戦法となります。

嬉野流

嬉野流の特徴は

角道を開けない

守りに使う左銀を攻めに使い、斜め棒銀の形を採用

となっており、どちらかというと急戦調の定跡になりがちですが

二枚銀のようにも使うことが出来、比較的使い勝手の良い戦法だと思います。

基本の駒組としてはやはり角道を開けず、銀を5筋に近づけて戦況に応じて戦えるのがポイントですね。

一方で新村田システムは角道を開ける直前まで左銀が動かず、右銀が早繰り銀調に前進していくような形になっていました。

村田顕弘とは

村田顕弘先生は、1986年兵庫県尼崎市生まれで

現在六段、順位戦C1組の先生です。

プロ入りは2007年で、奨励会三段を15勝3敗と言う優秀な成績で勝ち上がっています。

師匠は中田章道先生で、大師匠は板谷四郎先生。

ダン

藤井聡太先生の大師匠は板谷進先生で、板谷四郎先生は板谷進先生のお父様だから、お二人は辿っていくと同じ師匠にたどり着くことになるね。

一般棋戦の優勝経験はありませんが、

糸谷 哲郎先生

豊島 将之先生

稲葉  陽先生

村田 顕弘先生

と「関西若手四天王」と呼ばれていたこともある先生で

広瀬章人先生久保利明先生を破ったこともあるなど、実力は確かです。

詰将棋作家としても有名で、一方で詰将棋選手権にも数度出場された経験があることから

終盤力は相当なものがあると推測されます。

ダン

船江恒平先生と同年代だったんだけど、船江先生も詰将棋制作がお好きでしたし、二人で稲葉先生を悩ますように問題作ってたんですかね?

棋風は羽生善治先生黒田尭之先生のようなオールラウンダー型で、

村田システムも途中で振り飛車に変更出来ますし状況を見て指せる力戦型ですね。

村田顕弘先生だけじゃない!?打倒藤井聡太の為のエース戦法

今回、村田顕弘先生が繰り出した「新村田システム」ですが

村田先生に限らず、藤井聡太先生はじめとした強豪棋士を破る為には相当な研究が必要で、

その為に対局に合わせ綿密に作戦を立ててくることは容易に想像出来ます。

ダン

強豪の先生と対局する際、目の前の一局に集中しあらゆる手を駆使して破りたくなる、というのは勝負の世界で生きて来た棋士の本能なのかもしれませんね。

当然藤井聡太先生も対策を立ててくるわけですが

その対策の上を行く研究を考えに考え抜いて当日ぶつけてくるわけで

藤井聡太先生からすると、見たこともないような戦法・差し手を見て対応を迫られる訳ですよね。

見たこともない差し回し、いわゆる力戦型になった際は受け方一つ間違えるだけで

一気に形勢が悪くなりますし、リスクを背負って受け止める必要が出てきます。

棋士人生を懸けて研究を重ねた新村田システムは、間違いなく藤井聡太先生に研究では勝利したでしょう。

しかし最後の最後瞬発力勝負になった瞬間、藤井聡太先生はいち早く抜け道を見つけ、

そして相手より先に玉を詰ませる、という将棋の本来のルールに沿い、勝利をおさめました。

ダン

将棋は村田顕弘先生の勝ち、勝負は藤井聡太先生の勝ち、と表現していい対局だったよね。

村田顕弘先生も村田顕弘先生で勿論凄いのですが、そのような初見の手をギリギリの所で見切り、

最後の最後まで勝負を諦めず、土壇場で最強の武器でそれまでの局面を全部ひっくり返して勝つ。

村田顕弘先生に限らず、これからも打倒藤井でぶつかってくる棋士の先生の研究戦法を

ひたすらに紙一重の所で見切り、跳ね返し続ける藤井聡太先生はやっぱり「物凄い」の一言です。

ダン

間違いなく今年度の名曲賞候補になるでしょうこの対局。

まとめ

今回の記事のまとめです。

今回の記事で伝えたかった事

新村田システムは打倒藤井を果たすに十分な素晴らしい戦法だった

それを紙一重の所でかわし、逆転した藤井聡太七冠はとんでもないの一言

間違いなく今年度の名曲賞候補になる対局

藤井聡太七冠の6四銀、5九金は「羽生善治の伝説5二銀」レベルの神の手

最後まで読んで下さりありがとうございました。

藤井聡太先生の次の対局は、新会長として快進撃を続ける、旧レジェンド羽生善治先生。

あと二勝で、最後のタイトルである王座、そして永瀬拓矢先生への挑戦権を手に入れることが出来ます。

果たして今年度、前人未到の八冠達成はなるのでしょうか。

そして敗れた村田顕弘先生ですが、新村田システムで今後の対局でも猛威を振るい、勝ち星を重ねるのでしょうか。

どちらの先生のことも、今後更に応援させて頂きます。

ダン

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