谷川浩司 藤井聡太とのエピソードなど
谷川浩司十七世名人のこれまでの実績・エピソードなど
谷川浩司十七世名人と藤井聡太さんとのエピソード
谷川浩司十七世名人の著書紹介など
谷川浩司十七世名人と聞いて、将棋ファンであれば背中がピッと伸びる方も多いでしょう。
現在に至るまで5名しかいない中学生棋士の一人であり、藤井聡太先生が更新するまで
最年少名人記録を保持していた、レジェンドの一人。
今日はそんな谷川浩司先生にまつわる記事を書いていきます。
どうぞ最後までごゆっくりとお読みくださいませ。
谷川浩司 藤井聡太とのエピソード
初対局は藤井聡太先生が小学校2年生の時
谷川浩司先生と藤井聡太先生のご縁は藤井聡太先生が小学校2年生の時まで遡ります。
藤井聡太先生の地元にほど近い、名古屋市で行われたイベント「将棋の日」にて
谷川浩司先生が当時の藤井聡太少年に飛車角の2枚落ちにて指導対局を行ったのが始まり。
終盤、予定時間を過ぎて谷川浩司先生優勢だった局面ですが、白熱した対局の為長引くと見た谷川先生
と藤井少年に提案しますが、藤井少年は将棋盤に覆い被さるようにして号泣してしまったとのこと。
当時から既に師匠であった杉本昌隆先生にフォローをお願いし、結果的に藤井少年のお母さまが
将棋盤から藤井少年を離し、連れていくことで決着したそうです。
この時から谷川浩司先生のイメージの中で藤井少年は
将棋の強い人
ではなく
よく泣く子
だったようです。
そしてそこから6年後に藤井聡太少年が最年少プロ棋士になった時、谷川浩司先生は当時を思い出し
あれからまだ6年しか経過していなかったことに驚きを覚えられたそうです。
後述しますが谷川浩司先生だって大天才ですからね。
プロになってからの対局は藤井聡太優勢
谷川浩司先生と藤井先生の対局は、2023年8月現在で2局行われていますが
いずれも57手、76手で藤井聡太先生が勝利しており
対局成績は谷川浩司先生から見て0勝2敗と、藤井聡太先生に分があります。
ちなみに藤井聡太先生は谷川浩司先生のことを
と表現されていることもあり、対局の際は普段とは違う思い入れがあったでしょうね。
谷川浩司と藤井聡太の共通点
そんな天才棋士である谷川浩司先生と藤井聡太先生ですが、共通点が幾つかあります。
ザッと羅列しますと
詰将棋が好き、得意(二人とも制作まで行う)
詰将棋で鍛えられた終盤力(光速の寄せ、長手数詰めを秒読みで見抜く)
礼儀正しさ(受け答えの丁寧さや仕草・作法)
中学生プロ棋士
最年少名人記録(前記録者、現記録者)
となっており、藤井先生が谷川先生を意識していたのも何となく頷けますね。
中学生棋士における天才の系譜としては、
加藤一二三先生→谷川先生→羽生善治先生→渡辺明先生→藤井聡太先生
となっていますから、藤井先生もその系譜をしっかり継いでいると言えそうです。
現在は藤井聡太の成長を温かく見守る立場
現在は谷川浩司先生がトーナメント等で活躍され、第一線の場で
鎬を削るようなシーンを見ることは少なくなってしまいましたが
十七世名人として、前途ある藤井聡太先生を温かく見守られていらっしゃいます。
東洋経済等での藤井聡太先生に関する記事を書いていらっしゃいます。
第一線でのご活躍が少しご無沙汰になっているとはいえ、まだまだ現役の棋士である谷川先生。
こうやって前途ある棋士の道を、過去道なき道を切り開いて来た先生方がバックアップするって本当に素晴らしいよね。
谷川浩司の最年少名人記録・実績・エピソードなど
生誕~プロになるまで
谷川浩司先生は、1962年に兵庫県神戸市須磨区にて誕生致します。
ご実家はお寺なんだけど、とっても由緒ある高松寺と呼ばれるお寺なんだよ。現在は谷川浩司先生の親類の方がお寺を継いでいらっしゃるんだ。
5歳上のお兄様、俊昭様との兄弟喧嘩が絶えなかったことを見かねたお父様が
これで勝負しろ!と将棋盤と駒を与えたのがきっかけだそうです。
これで兄弟喧嘩も収まるかと思いきや、負けそうになると駒を投げつけたり、噛んだりする等して
更に酷くなったというオチがあり、藤井聡太先生とはまた違うベクトルで負けず嫌いだったことが伺えますね。
ちなみにお兄様の俊昭様もアマチュアの強豪で、灘高校から東京大学を出てリコーの将棋部に所属、主将を務め
数々のアマチュア大会で優勝するなどの腕前。
しかも羽生善治先生や佐藤康光会長にも勝利するほどの腕前です。
身近に強力なライバルがいたことも谷川先生の棋力向上にきっと役立ってますよね、これ。
その後小学校5年生で奨励会に入会するとグイグイと昇級・昇段を重ね、
1976年、中学校2年生にて加藤一二三先生以来二人目となる中学生プロ棋士となります。
史上最年少名人
プロ棋士となってから2期目以降、
毎年順位戦にて昇級を重ね20歳にして遂に4期連続昇級によりA級、8段となります。
この時の谷川浩司先生の夢は、当時大名人の呼び声高かった中原誠先生を破って
名人となることで、いよいよこの夢が現実味を帯びてきます。
しかし現実は残酷で、何と谷川浩司先生が必死になって名人挑戦を得ようとしている最中
中原誠先生と加藤一二三先生との名人戦で、加藤一二三先生が名人位を奪取。
この時の最終局、谷川先生はこの対局の解説をされていらっしゃったんだけど、中原先生が失冠したことについて呆然としたと述べられているよ。
結果、気を取り直し加藤一二三名人(当時)と名人位をかけて激突。
4勝2敗で加藤一二三先生を破り、21歳での史上最年少名人となりました。
名人位についた際の
は有名なフレーズですね。
また、名人戦の第六局目に詰みが生じているのを見つけた谷川浩司先生は
呼吸が荒くなり、吐き気を催し
本当に詰んでいるのか何度も確認をし、冷静さを保とうとした
そうです。
手の届くところにある、夢にまで見た名人位。そりゃ誰だって平常心でいられませんよね。
現在はその記録を藤井聡太先生が更新した為、史上最年少名人の前任者という形にはなりますが
それでも21歳で名人になったということはとてつもない記録ですね。
名人からどうぞ~名人になった実感~
谷川浩司先生が名人になられた頃、お仕事が終わりタクシーを待っている状況になったそうですが
その時に、年齢のこともあり自分より先輩の方を促されたそうですが
「名人から先にどうぞ」と言われたことが印象的である旨を語られており
その時に名人という位の重みを感じたと仰っていました。
もちろん竜王位も凄いし、他のタイトルも凄いんだけど、やっぱり歴史の重みで考えると名人位以上に重いタイトルは今の時点ではないよね。
羽生善治 羽生世代台頭による名対局
その後1990年度には自己最多となる4冠を達成し、まさに絶頂期を迎えますが
それと前後して台頭してきた羽生善治先生をはじめとした羽生世代の棋士達と数多の名局を繰り広げます。
特に羽生善治先生との通算対局数は150を越えて168局、谷川先生の62勝106敗だよ。
その中でも特に有名なのが、羽生善治先生が七冠をまさに独占しようとしていた第44期の王将戦でしょう。
羽生善治先生が六冠を手中に収め、最後の一冠を持っていた谷川王将と王将戦で激突します。
折しも1995年は、阪神淡路大震災が発生した年で、神戸に住んでいた谷川浩司先生にとっても
決して他人事ではなく、被災地復興の為にも魂を入れて将棋盤と向き合った谷川浩司先生は
4-3のフルセットで羽生善治先生を退け、最後の一冠を死守すると共に
羽生善治先生の七冠を阻止したのでした。
あの当時まさに敵なしだった羽生善治先生を止められたのは、谷川浩司先生以外いませんでしたよね。しかも震災がなかったらそれでも止められなかったかも。
今で言う藤井聡太先生の挑戦を退けるくらいの難易度ですよ?
それでも翌年には再び六冠を防衛し、今度はストレートで谷川浩司先生を破り七冠となった羽生善治先生も
やはり只者ではなかったでしょう。
その後は羽生善治先生をはじめとした羽生世代、
森内俊之先生、郷田真隆先生、藤井猛先生、佐藤康光先生、丸山忠久先生
等と激闘を繰り広げたのでした。
谷川浩司十七世名人の通算タイトル獲得数
谷川浩司先生の現時点でのタイトル数や棋戦優勝についてですが、
タイトル数は歴代5位の27期となっており、内訳は以下のようになっています。
また、一般棋戦でも通算22回の優勝を達成しており、以下内訳となっています。
やはり優勝回数、タイトル数を見てもレジェンド棋士であることが伺えますね。
また、順位戦については
最高峰であるA級に32期在籍され、
これは29期在籍された羽生善治先生よりも3期長い記録となっています。
やっぱり谷川浩司先生、バケモンだよね…
人柄・会長職等
谷川浩司先生を語る上で外せないのはそのお人柄でしょう。
谷川浩司先生の棋力やこれまでの実績は勿論なのですが、
棋士間で有名なのが谷川浩司先生の礼儀作法でしょう。
と仰ったのかどうかはわかりませんが、
相手への配慮や心配り等は数え切れず
棋士の間でも谷川浩司先生の立ち振る舞い・言動を参考にしている方は多くいらっしゃいます。
だからかどちらかというと天然流の加藤一二三先生とはウマが合わないような印象を受けますよね…上座下座の件もそうですし…どちらが良い悪いではなくて性格的に真逆ですから…
また、これまでの実績だけでなく、お人柄も考慮されたのか
2012年の12月に、日本将棋連盟の会長に就任されます。
前会長だった米長邦雄さんが逝去されたことによることも大きかったんだ。
しかし、在籍期間中に発生した
将棋ソフト不正疑惑事件の対応を誤り、結果責任を取るような形で辞任となってしまいました。
全て谷川先生の責任と言う訳ではないのですが、前代未聞の疑惑について
将棋界のイメージが一時的とは言え悪くなってしまったことは残念ですね。
弟子・都成竜馬との師弟関係
谷川浩司先生はお弟子さんを1人取られており、
それが現在プロ棋士として活躍する都成竜馬先生です。
谷川浩司先生の唯一のお弟子さんでもあり、都成先生の誕生日が阪神淡路大震災が発生した1月17日だったりと
様々な縁を感じて取られたそうですが、その一人のお弟子さんがしっかりと棋士となり、そしてご活躍されている姿を見ると
谷川浩司先生の慧眼ぶりが伺えます。
都成先生が奨励会時代に苦労していた頃に宛てたお手紙とか、色々と感動するエピソードもあるんだよ。
年齢制限が迫りくる恐怖、そしてどんどんプロ棋士になっていく関西の有望な奨励会員達。
まだまだ第一線でやっていた頃、それでも時間を割いて都成先生と向き合っていた谷川浩司先生。
そしてギリギリのタイミングでしっかりと昇段に導く師匠としての勝負強さ。
いつか都成先生が、和服を着てタイトル戦に臨む姿を見てみたいものですね。
谷川浩司 プライベートなど
谷川浩司先生のプライベートはあまり語られることがないのですが、
以前放送されていた情熱大陸等では谷川先生の素顔が結構さらけ出されていたのを思い出します。
体力つくりに自宅でエアロバイクを漕ぐ
熱烈?な阪神ファン
奥様がとても美人
対局に出かける際、その奥様が谷川先生の背中に「念」を送る
などなどが映し出されていました。
谷川浩司先生が甲子園で例の如く大人しく座られて観戦していたら、阪神の選手がホームランを打ち周囲が総立ちになり、近くのオジサンとハイタッチしている姿は滅茶苦茶貴重でした…
動画を探したのですが見つからなかったので、また見つかり次第アップ致します。
谷川浩司 著書
ここからは谷川浩司先生の著書について幾つかご紹介をします。
結構な数書かれているので、厳選して紹介しますね!
藤井聡太はどこまで強くなるのか 名人への道
藤井聡太はどこまで強くなるのか 名人への道 谷川浩司 将棋 八冠
藤井聡太先生を、大先輩である谷川先生の立場から評した一冊。
あれだけの実績ある先生を評論するには、相応の立場や経験がないと語れないのですが
それを論ずるに値する数少ない先生が、谷川先生だからこそ
ここまで面白い本に仕上がったと思っています。
バチクソ面白いから是非見てね!
勝運をつかむ
勝運をつかむ
囲碁界のスーパースター、井山裕太先生との対談です。
お二方のお話で共通しているのはやはり
「勝ちに対する執念、考え方」でしょう。
負けず嫌いなのが大前提ですが、勝利に対する姿勢は勿論、勝ちに至るだけの運までコントロールしようとする姿勢は
私達ビジネスマンも見習う所が多い一冊です。
谷川VS羽生100番勝負
谷川VS羽生100番勝負 (プレミアムブックス版)
150を超える谷川先生、羽生善治先生との対局のうち、厳選した100局が記載された本。
この棋譜を並べるだけでもそうですが、それぞれの対局の際の思いなんかも収録されており、
谷川ー羽生の対局を振り返ることが出来る貴重な一冊です。
まとめ
今回も最後までお読み下さりありがとうございました。
谷川浩司一七世名人は、藤井聡太先生が憧れる程の素晴らしい棋士
棋力だけでなく、作法も含め多くの棋士の先生からリスペクトされている
藤井聡太、羽生善治に押され気味だが、実績や決して劣るものはなく、むしろ谷川浩司先生が切り開いた道を羽生先生、藤井先生が通ってきている
一七世名人としても、人間としても大変素晴らしい谷川浩司先生。
これからも谷川浩司先生を全力で応援させて頂きます。
ダン
コメント
コメント一覧 (3件)
[…] 谷川浩司先生や久保利明先生など猛虎党の先生方にも負けないくらいの猛虎愛をこれからも見たいものです。 […]
[…] そこから駒の動かし方を知っていたお父様に指導を受け、谷川浩司先生の入門書等を読んで少しずつ棋力を上げて行きます。 […]
[…] そこから谷川浩司先生、羽生善治先生、森内俊之先生、渡辺明先生、豊島将之先生、藤井聡太先生… […]