2024年2月16日、衝撃的なニュースが世界中を駆け巡りました。
ロシアの反政権指導者であり、ロシア当局により懲役19年の判決を受け、矯正労働収容所に収監されていた
アレクセイ・ナワリヌイ氏が2月16日に死亡したとロシア当局から発表がありました。
前日までは元気だったようですが、一体何が起きたのでしょうか。
そしてナリヌワイ氏の死因は何だったのでしょうか。
考察したいと思います。
ナワリヌイ氏とは?反体制派リーダーをロシアが恐れていた理由
ナワリヌイのプロフィール
ザリヌワイ氏の主なプロフィールです。
名前:アレクセイ・ナリヌワイ
出身:ソビエト連邦モスクワ州オディンツォフスキー地区ブトィン村
誕生日:1976年6月4日
学歴:ロシア諸民族友好大学法学部、ロシア連邦政府付属財政大学、米国イェール大学など
職業:弁護士、政治(社会)活動家
ロシア国内で反政府活動をしていた
2000年頃からロシアの自由主義政党ヤブロコ(ロシア語でりんご)に所属し、民主主義や人権重視を謳う
欧米諸国との関係強化を主張したり、反移民政策のデモ活動を主導するなど当時から反政府的な思想を掲げ
政治的な活動を行っていました。
不正の告発や追及へ
やがてヤブロコから除名となると、今度は個人で活動をはじめ
国営企業の横領の告発や国家予算の不適切な使用について追及するようになります。
日本で言う不正報道があると国会中に野次を入れまくってる野党側の人、って立ち位置ってことなんでしょうか。
やがて横領や不正会計等の告発だけでなく、ロシア国内の不正選挙疑惑に対するデモに参加したり
ロシア大統領選挙の際に反プーチンを掲げ、デモを主導するなど
ロシアの体制に対し明確にNOを突き付け続けていました。
度重なる拘束・逮捕・禁固
これらのナワリヌイ氏の行動に対し、ロシア当局側も手をこまねいてみていた訳ではありません。
デモ参加の際にナワリヌイ氏の身柄を拘束したり、
横領罪や詐欺罪と言う濡れ衣を着せて選挙に立候補するのを妨害しようと企てたりするなど
明らかにナワリヌイ氏の行動に対し警戒をしていたことがわかります。
実際に横領罪については2016年に欧州人権裁判所が裁判無効の判決を出しましたが、
ロシア最高裁はこれを受け入れることなく再審を指示し再び有罪判決を出しています。
ナワリヌイ氏の影響をロシア側も恐れていた
アメリカを中心とした自由と民主主義の国家にとって
政府を批判するような言動であっても、法律や公共の福祉に反しない限りは
最大限尊重されるようになっており、日本でも同様です。
しかしながらロシアや中国、北朝鮮等一部の社会主義国家は、
基本的な人権が保障されない為国家としての体制を批判することが見つかると
根拠となる法律を明示せず、体制批判と見做されそのまま拘束・拘留されることが起こりえます。
理由としては国家体制の維持にリスクを伴う可能性があるからで、
特にナワリヌイ氏のように影響力のある反政府活動家が自由に国家の不正、国営企業の告発を行うと
国家に対する不信感を国民が抱くようになり、それが国家体制打倒という目的で結束すると
最悪の場合、国を割るような内乱・内戦状態に陥る可能性があるからです。
耳障りなことを言う人は、国家体制の維持には不要、と言っているようなもんですね。自由が保証されない国の恐ろしさを改めて感じます。
ロシア側としては、ナワリヌイ氏が公の場で政府を批判するような言動をし、
民衆を扇動したりするようなことがないよう
根拠の乏しい罪をナワリヌイ氏に濡れ衣という形で着せて拘束することで、
ナワリヌイ氏の影響力を低下させ、反政府を目的に団結させることを防ぐことを
考えていたことが予想されます。
ナワリヌイ氏への暗殺未遂とロシアの過去の粛清疑惑
ナワリヌイ氏は過去にも暗殺未遂を受けていた
ナワリヌイ氏の今回の死亡については暗殺が強く疑われていますが、
その理由として以前にも暗殺未遂を受けていたことが挙げられるからです。
ノビチョクとは簡単に言うと神経系に作用する猛毒の物質で、かつて日本中を恐怖に陥れた
オウム真理教が精製していたサリンよりも強い毒性を持ちます。
これらの物質をナワリヌイ氏が口にした紅茶に混ぜ込んだとされており
今回死亡した時と同じように、突然倒れて意識不明になったようです。
ナワリヌイ氏以外にも暗殺を疑われる事件が多数ある
今回のナワリヌイ氏以外にも、暗殺を疑われるような死亡はロシア国内に幾つもあり
最近暗殺を疑われるような事件で言えば、
ロシアとウクライナ戦争の際に有名になったロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者、プリゴジン氏でしょう。
プリゴジン氏は2023年の8月、自家用ジェット機に搭乗していたところ墜落、死亡していました。
アメリカの有力紙であるウォール・ストリート・ジャーナルはこの事件を暗殺と断定し報道しており
米国防総省のライダー報道官も「殺害された可能性が高い」と初期の段階で発表していました。
プリゴジン氏が創設したワグネルグループはロシア・ウクライナ戦争にも参戦していましたが
弾薬不足等を巡ってロシア軍と激しく対立、SNS等を使って激しく非難を繰り広げ
ワグネルの反乱と呼ばれる騒動を引き起こし、ワグネルの舞台を引き連れモスクワに向かうと言う
一種の反乱のようなことを起こしていました。
この他にも元スパイのアレクサンドル・リトビネンコ氏が亡命先のロンドンで
飲み物に「ポロニウム210」を混入され、死亡しています。
裏切り者は許さないという鉄の掟
ロシアには「裏切り者は絶対に許さない」という鉄の掟があるようで
政府を批判するような言動やロシアに不利益になるような言動をした人間が
国が関与したと疑われるような不自然な死に方をする例は数多くあります。
今回のナワリヌイ氏も、過去に暗殺に失敗したとみられるようなことがあり
拘束された矯正労働収容所でも
ロシアの国営テレビやプロパガンダ映画の視聴を毎日8時間以上にわたって強制される
1時間毎に起こされ、逃亡の計画がないか確かめる
等の拷問に近い仕打ちを受けていたようです。
ロシアの暗殺が疑われる死亡って、突然の体調不良がほぼ間違いなく起きるんだよね…このようなことしてたら露骨に粛清しようとしてたのバレバレなのに…
ナワリヌイ氏死亡後他国の反応 追悼参加者を拘束も
ナワリヌイ氏死亡後他国が次々と反応、声明を出しました。
米国のバイデン大統領は、ナワリヌイ氏の死亡を受けロシアへの対抗措置を検討していると表明。「あらゆる選択肢を検討している」と述べた。
欧州連合(EU)のミシェル大統領は、ナワリヌイ氏が死亡した責任は全てロシアの政権にあると表明。「ナワリヌイ氏は自由と民主主義の価値のために戦った」とし、EUはこの悲劇的な死について「ロシア政権に全責任を負わせる」と述べた。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は「全ての事実を明らかにする必要があり、ロシアは彼の死の状況に関するあらゆる重大な疑問に答える必要がある」と指摘。
英国のスナク首相は「ロシアの民主主義の最も強い擁護者として生涯を通じて信じられないほどの勇気を示した」としたほか、ドイツのショルツ首相は、ナワリヌイ氏は勇気の代償を命で払ったと指摘。フランスのマクロン大統領も「現在のロシアでは自由な精神は収容所に入れられ、死刑を宣告される」と非難した。
引用:https://jp.reuters.com/world/ukraine/3HFDDQCZIJKUTAJBTWTDSHDASQ-2024-02-16/
また、ナリヌワイ氏の死亡に伴いロシア国内で追悼イベントも行われているようですが、
これに参加した人100名超をロシア当局が拘束したようです。
他国ももうわかってきてるよね。
ロシアを批判、仇なすものは容赦なく粛清する、という姿勢をロシア側が持っていることを
共通認識として持っているものと考えられます。
まとめ
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ナワリヌイ氏の暗殺は世界に大きな衝撃を与えただけでなく
ロシア側の暴挙であることを確信しているような各国からの非難の声明も降りかかり
ますますロシアが世界から孤立していく現状が浮き彫りとなりました。
現在のロシア・ウクライナ戦争も含め一日も早く平穏な日々がやってくることを願っています。