桃鉄に不採用も枚方市と小学生が行ったプレゼンが素晴らしかった理由

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桃鉄のロゴ

桃太郎鉄道、桃鉄と言えば今や国民的ゲームの一つで、プレイヤーがサイコロを振りながら

電車で目的地まで移動し、移動する先々で不動産屋名産品を買ったりするのが魅力の

ボードゲーム式TVゲームの一つです。

高校生、大学生の際には友人の家で徹夜で桃鉄にいそしんだ方も多いのではないでしょうか。

そんな桃鉄に、我が街枚方市を追加して欲しいと言う取り組みが枚方市内の小学校であり

直接制作元のコナミ社、そして制作者を相手にプレゼンを行いました。

今回はその結果と取組について記事にしたいと思います。

目次

枚方は桃鉄に採用されず 小学生のプレゼンで見えた課題

ストップのイラスト

子ども扱いしないというコナミ側の本気具合

枚方市立小倉小学校の6年生を中心に2月7日に行われたプレゼン。

コナミ側も制作者を用意し、本気具合が伝わるプレゼンとなりましたが

結果は

「桃鉄に枚方を入れてくださいといろんな班の人が言いましたが、無理です」

との返答でした。

子どもが行う学習の一環と言うこともあり、忖度する余地もコナミ側にはありましたが

子ども扱いしないという桃鉄制作の監督を務める、桝田省治さんの意向で

ビジネスとしてシビアに判断しての決断となりました。

枚方市の小学生がプレゼンした内容

NGとなってしまいましたが、枚方市立小倉小学校の子ども達は具体的にどんな提案をしたのでしょうか。

一例を挙げると

ひらかたパークの魅力

地元のショッピングモールであるくずはモールの魅力

伝統文化

地元の工場

人気の飲食店

等で、ランキングやグラフまで用いて説得力を高めるような、本格的な調査であったようです。

ダン

自由研究とかであれば結構なクオリティだったのでは…と推測される内容ですね。

 

枚方市の訴求ポイントとしては

「子どもから大人まで楽しめる魅力がたくさんあります。教育版桃鉄に追加するしかありません」
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/cad876d5219d9589149872375f7679d6036b28d0

と言うことだったようです。

コナミの制作側に伝わらなかった理由

ビジネスの視点で考えると、小学生ながらここまで調べ上げたことについては

素晴らしいの一言でしょう。

しかし何故これだけの時間や労力をかけたプレゼン資料が

コナミの制作側に伝わらなかったのか?と言う視点はビジネスにおいて

非常に大事な所だと思います。

具体的にコナミの制作側から今回のプレゼンに対するフィードバックを見てみましょう。

「まず枚方に対して調べ方が足りない。どういう条件がクリアしないと入らないかということも調べられていない。なぜ選ばれて、選ばれていないかを言及している人がいません。なぜ近いまちが入っていて、枚方が入っていないか。実際の現実というのはライバルがいます。比べられます。それを押しのけた人が、自分の提案が採用されたり、されなかったりします」
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/cad876d5219d9589149872375f7679d6036b28d0

 

結構バッサリ行ってますね(笑)

この指摘された点については絶対的であるか、相対的であるかという観点で考えてみましょう。

ビジネスは相手がいて初めて成り立つ為、相対的(相手が存在する)な思考が必要なのに対し

枚方市はこんなに魅力がある!こんなに素晴らしい街である!という提案やデータは

絶対的な思考(相手が存在しない)となっていて、ここで双方の視点で齟齬が生まれている所がポイントです。

上手く伝わっていないイラスト

 

もう少しわかりやすい例で言うと、例えばハンバーガー屋さんをマクドナルドの隣にオープンしようとします。

マクドナルドの大ファンの人にマクドナルドではなく自分達のお店に来て貰うには

どうやって伝えれば良いか?という視点で考えないといけない、ということですね。

ビジネスの世界にはほぼ間違いなく相手が存在しますので、

その相手よりも魅力的な所を見つけること

その魅力をどうやって知らない人に伝える必要があるのか

魅力を知って貰った上でどうやって行動して貰う(買って貰う、来て貰う、体験して貰う)のか

 

と言う点で考えて資料やデータを収集し、まとめていかないと

自分よがりの考え方になってしまい結果的に上手く行かないことが多い、と言うことになります。

ダン

ダンも偉そうに言ってるけど企画思い切り外したり新規事業失敗してきてますから…大人がやっても簡単ではことをやってる訳です。間違いなく。

採用されなかったこと以上にメリットがあったと考える

残念ながら桃鉄に「枚方」の名前が採用されることは難しくなってしまいましたが、

まだ小学生というタイミングでビジネスの本質みたいなものに触れることが出来たことは

相当なメリットではないかと考えています。

と言うのもこれらの考え方は一般的に社会に出てから学ぶ類のものであり

ごく一部の学生を除いては、学校と言うモラトリアムの空間で学問のみを学ぶことの方が多いからです。

疑問

今学んでいることや調べていることが、社会に出た時にどのように役に立つのか?

 

と言う観点は、学校と言う空間にいるとなかなか可視化されにくく、加えて経験則としても

積みあがりにくい部分でもあります。

社会に出たら自分よがりの考えだけではダメで、相手の立場や考えを理解しないといけない

この本質に小学生というタイミングで触れることが出来たのは、とても貴重な体験であったと思います。

素晴らしかったのは枚方の小学生だけでなく枚方の教育関係者全員

グッドのイラスト

きっかけは枚方市教育委員の着想

桃鉄を用いた学習の取組は、枚方市の教育委員である浦谷亮佑さんのアイデアだったそうです。

「4年生の社会科の都道府県の単元がどうしても暗記中心になりがちで、子どもたちが社会科を嫌いになるきっかけになっていた。教育版桃鉄を導入すれば、この問題を解消できるかもしれない」と考えたことが導入の動機だという。現在では枚方市の小中学校全63校に、教育版桃鉄のアカウントが配布されている。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/cad876d5219d9589149872375f7679d6036b28d0

 

目的もなくただ暗記する、という学習が本当に子ども達の為になるのか、という観点と

興味を持つきっかけとして楽しめるものをツールとして使う、という観点は

年齢を問わず、教育者として常に持っておかないといけない観点です。

更に社会科だけの話で終わらず、教育現場では国語科でもこのテーマに向けて取り組み

「情報を適切に伝えよう」というテーマの下に自分達で情報を集め、グラフ等を作成

相手にわかりやすく伝えられるよう創意工夫するという

科目を越えた総合学習になっている点もポイントが高いと思います。

本物に触れる体験を

このプロジェクトの意図として

「大人になると、相手の心を動かし、やってみたいと思わせ、アクションを起こさせなければならない時がある。クラスの友達に発表することも悪くないけれど、発表して『良かったね』と拍手をもらうだけでは不十分だと思っています。誰に何の目的で発表するのか、相手意識と目的意識が大事」。目指しているのは、「子どもたちがどれだけ本物に触れる体験ができるか」だという。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/cad876d5219d9589149872375f7679d6036b28d0

 

がありました。

ただの暗記学習、自己満足で終わらせるのではなく

きちんとそのプロセス・結果を残す、という点が教育現場で行われていたことは素晴らしいことだと思います。

多様性が叫ばれている昨今ですが、だからこそ自分とは異なる価値観・考え方の相手と接する時に

相手が考えていることを想定し、理解した上でどう自分のことを表現し、理解して貰うか

 

と言う点は今後更に重要になってくると考えており

AI等で代替が出来ない、人間が人間である一番の価値である

と考えております。

それをビジネスという本物の現場で実際に表現してみたこと、相手にどう伝わったのかというリアルな感覚

これは成功・失敗では測れない貴重な経験と言えるでしょう。

経験を積み上げる女性の絵

テクノロジーに左右されず、人間が人間らしく生きる為の知恵や知識を多面的に学ぶ。

これからの学校教育で求められることを、積極的に実践した枚方市はアッパレの一言なのです。

矢印を自分達に向けた 教育者としてお手本となる振る舞い

コナミとしては忖度するという選択肢もあった中で、

子ども扱いしないという方針の下、厳しい評価が下された今回のプロジェクトでしたが

一番と言って良い収穫は、この結果に対し皆が矢印を自分達に向け、他責にしなかったこと

が挙げられます。

6年1組の担任の先生である山本健斗先生も

「授業の中での『物事を多角的に捉える』を先生もやった気になっていた。実際に学校の中で『それでいいよ』とされることと、社会で求められるレベルが違うと感じた。その分野で社会で活躍したいと思うなら、独自性を持ち、他と違うことをやってみることが大事。そんな話が、第一線で活躍している方から聞けた」
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/cad876d5219d9589149872375f7679d6036b28d0

 

と素直に自分達も至らない点があったことを認め、教育者として成長する為に学ぶ姿勢を見せたこと

は、子ども達だけでなく教員にとっても大きな気づきになったのではないかと思います。

社会に出たら自分達はまだまだ知らないことが多い

 

ことを素直に認めるのは難しく、生徒の手前ハードルが高いと感じる点もあったことでしょう。

ビジネスの最前線で活動するホンモノの方々に自分達の取組をぶつけてみた結果、

様々な課題点が浮き彫りになった。

と至らない点をきちんと認め、生徒と一緒に改善し、学ぼうという姿勢は

実は生徒自身が一番よく見ている所でもあったりします。

ダン

生徒だって先生が完璧じゃないことは薄々気づいているんだよ。山本先生、素晴らしいね。

 

今回のプロジェクトでの生徒の反応も前向きなものばかりで

6年生たちにとっても、「一生に一度しかない貴重な体験」になったようだ。

資料の作り込みやプレゼンの練習を必死に行った分、「率直に『無理』は少し悲しかった」とショックを隠せない様子だった。

だが、

「プレゼンを作って、いいのできたなぁーとか思ってたから、だだの自己満足で終わっていたんだなと思った」
「企画は、1回だけじゃ通らないという社会を知った」
「自分たちが作ったプレゼンじゃあ説得できなかったし、もっと多角的に調べた方がよかった」
「自分では調べたと思っていたけど、まだまだ調べる内容が薄かった」
「辛口な講評が返ってきたけど、(他の班と物件の内容が)かぶりすぎているところとか、内容が薄いところとかが、その通りだと思った」

と現実をしっかり受け止めていた。

「悔しすぎたのでもう一回チャレンジしたい」
「考えるのはタダだから、もっと頑張って大人の人でも納得ができるようなプレゼンをしてみたい」
「次はもっと詳しく、なぜそうなのかとかを調べてより説得力を上げたい」
「もっと調べて何回も提案して成功できればいい」
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/cad876d5219d9589149872375f7679d6036b28d0

 

跳ね返された「結果」に一喜一憂するのではなくて、そこに至るまでのプロセスや次のアクションに向けて

ベクトルが向けられており、今回のプロジェクトそのものが大成功であったことが伺えます。

今回のプロジェクトで肌で体験した内容を是非今後の学習でも生かして欲しいと願ってやみません。

まとめ

最後までお読み下さりありがとうございました。

桃鉄に枚方市の名前が採用されなかった、という事実だけ切り取ってしまうと

シビアな現実を見せられてしまったように思いますが、

そこに至るまでの教育委員会、教員、生徒の活動、考え方

そして結果に対する検証等

普通の学習では得られないような沢山の経験を今回得られたのではないでしょうか。

今回の目的であった桃鉄に枚方市の名前を採用する、という所は達成しませんでしたが

全員で目標に向かってチャレンジし、結果失敗しても次に向けチャレンジし続ける姿勢は

必ずどこかで花開くと信じています。

枚方市における教育に携わった方と、子ども達の更なる発展を願っています。

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